契約書管理の理想モデルから見る管理基盤の作り方 -Contract Productivity Model ステージ1-

本記事でわかること

Over view

  • Contract Productivity Modelの概要
  • Contract Productivity Modelのステージ1を既存システムで達成する場合の注意点
  • Hubbleで行うContract Productivity Modelステージ1の達成方法

はじめに

みなさん、こんにちは!

当社が運営する法務の生産性を高めるメディア「Legal Ops Lab」(以下、LOL)の以下の記事で、企業における契約業務の理想形として、以下のようなモデル「Contract Productivity Model」を発表しました。

今回は、このモデルをどのように達成していくか、特にステージ1を中心にご紹介していきます。

Contract Productivity Model(CPM)の概要

CPMの目的

このContract Productivity Model(以下「CPM」)は、「契約(書)業務」のあるべき姿を、審査依頼から契約審査(交渉)、承認・締結、そして契約管理のプロセスごとにまとめたものです(図1)。

Contract Productivity Modelの画像
図1:「Contract Productivity Model」の全体像

この背景には、契約(書)業務は、その審査依頼から契約審査(交渉)、承認・締結、そして契約管理に至るまで、社内外の多くのステークホルダーが関わる非常に複雑なものであり、法務(組織)だけをその効率化のスコープとするだけでは、効率化は完了しないということがあります。

CPMに適合しない場合のリスク

このモデルに適合していないと、契約書とこれにまつわる情報が「見つけられない、見えない、ない」といった状況になり、法務だけでなく全社的に契約業務が非効率になります。例えば、日常業務において、以下のような非効率が発生します。

  • 事業部門は契約書のありかがわからず、法務や総務など文書管理部門への問い合わせが減らない
  • 事業部門からの契約書に関する似たような問い合わせが減らない
  • 法務・事業部門ともに退職や異動による担当者変更に対応できず、その度に蓄積された情報が消失する

こうした状況が続くと、一向に業務効率は向上しませんし、組織のメンバーの契約書に対する思考の深化と行動への意欲を奪います(こうした情報の見える化の意義は、こちらをご参照)。ひいては、法務や総務では、「事業部門は契約書のことを考えてくれない、読んでくれない」というストレスを感じる一方、事業部門は「契約書は法務・総務が見ればよく、丸投げすれば良い」という考えに繋がり、企業全体としてのリスク管理の体制を弱めてしまう可能性もあるのです。

とはいえ事業部門は、まだ契約書に興味を失っていない

既に上記のような状況に陥っており、状況の改善が難しいと感じているかもしれません。しかし、今なら「まだ間に合う」状況のようです。

当社が実施した以下のアンケートによると、非法務部門の85%以上の方が今以上に契約書の理解を望んでいるという結果が出ました。つまり、事業部門の方の契約書に対する関心は未だに失われておらず、今なら手を打って最悪の状態に陥ることを回避することが多くの企業で可能です(図2参照)。

CPMステージ1の概要

上記のような課題を解決するために、まずはCPMのステージ1の達成を目指していくのがスタートになります。このステージ1のコンセプトは、契約書を会社全体で管理する体制ができている状態を作ることにあり、これが企業で契約書管理を実施する上での基本になると言って良いでしょう(図3参照)。

Contract Productivity Modelのステージ1の図
図3:Contract Productivity Modelのステージ1

既存のツールやシステムでステージ1の達成を実現する場合

現在、いわゆるリーガルテックを導入していないような企業において、既存のシステムでステージ1を達成しようとする場合には、以下の図4のようなイメージになると思われます。

Contract Productivity Modelのステージ1を既存のツールで達成する場合のイメージ
図4:Contract Productivity Modelのステージ1を既存のツールで達成する場合のイメージ

既存のツールで実現する場合の課題

もっとも、既存システムを活用する場合には、以下のような点が、引き続き課題になるでしょう。

契約審査の履歴の記録が定着しない

いわゆる共有フォルダやクラウドストレージをベースにした業務フローでは、常にドラフト(Wordファイル)とこれに関連するやりとり(メール等)が分離します。このため、審査に関する記録を一元管理しようとすると、ドラフトだけでなくメールなども意識的にフォルダに格納することが必要になり、その手間が運用を非常に難しくさせます(図4の矢印の多さがそれを表しています)。更に、修正の経緯を確認する場合も、Wordファイルを一つ一つ開かない限り、その具体的な内容を把握できないため、事業部門だけでなく法務部門においても、かける手間に比して十分な効果や意義を見出せなくなる可能性があります。

電子契約の都度ダウンロードの煩雑さ

電子帳簿保存法の改正により、電子契約で締結した契約書において電子データでの保管が義務化されたことから、紙で締結した契約書においてもPDF化して電子データで保管することが事実上のベストプラクティスになっています。

こうした中では、例えば、共有フォルダやクラウドストレージ上に電子と紙双方の契約書を集約する場合、電子契約で締結した契約書のデータをわざわざ一度ダウンロードして当該共有フォルダ等に格納する必要があり、電子契約を導入したがために、却って煩わしい作業が増える結果となってしまいます。

権限設定とその管理の煩雑さ

契約書はその文書の性質上、その閲覧範囲を適切に絞ることが重要です。

ただ、実際には共有フォルダやクラウドストレージでも、必ずしも柔軟な権限設定が難しい場合があります。加えて、使い勝手を理由とした改善のメンテナンスをしようとしても、契約書を管理する主体の法務や総務部門の一存ではメンテナンスが難しかったり、そもそもメンテナンス自体が複雑すぎて困難な場合もあるでしょう。特に、多くの企業で作成している契約台帳での権限管理は、PDFファイルやこれを格納するフォルダと分離せざるをえないため、困難を極めます

Hubbleで達成するCPMステージ1

この点、Hubbleを通常の運用に乗せると、CPMのステージ1は自動的に達成可能な状態になります。以下では具体的にどのように達成されるのかをステージ1の各要件に沿ってご紹介していきます(全体像は図5参照)。

Contract Productivity Modelのステージ1をHubbleで達成する場合のイメージ
図5:Contract Productivity Modelのステージ1をHubbleで達成する場合のイメージ

「審査依頼」パートの各要件とHubble

依頼者による契約審査の依頼方法が決まっており、これが告知されている

Hubbleでは、下記の記事にあるように審査依頼として、3つの方法が取り得ます。自社の状況に応じて、いずれかを選んで社内で告知し、少なくとも依頼者(事業部門)が正しい依頼方法を認識できるようにしておくと良いでしょう。

最新の自社雛形の格納場所が統一され、依頼部門が使用できる

Hubbleでは、契約書の雛形を格納し、常に最新の雛形を活用できるようになる「テンプレート機能」があります。この機能を使うことで、格納場所を統一しつつ、テンプレートの公開範囲を制御しつつ事業部門のメンバーに最新の雛形を活用してもらうことができます。

「契約審査」パートの各要件とHubble

契約審査の履歴を記録している

Hubbleでは、法務と事業部門双方で「なぜこのように内容を修正したのか」「なせこの内容で契約を締結したのか」といった背景情報についても共通認識を持てるような記録を残すことを重視し、契約書のドラフトとこれに関連するコメント、更に関連する資料も一つのページの中で確認できるようになっています。

格納でも参照でも手間がかかり、集約する意義が見出しにくい共有フォルダ等での一元管理にはない見やすさと日常の業務の中で自然と一元化できる点が大きな差異です。

Hubbleにおける契約書管理のイメージ

審査中の契約書のドラフトを社内の関係者がいつでも確認できる

上記の通り、Hubbleであれば、日常業務の中で共有可能な場所にドラフトや関連するコミュニケーションを格納することになります。こうして共通認識を作る流れを作る一方で、必要に応じてHubbleではドキュメントやフォルダ単位で、柔軟に権限を切り分けることができます。

これによって法務はもちろんのこと、必要な事業部門のメンバーがいつでもHubbleにアクセスすれば、情報を確認できる環境を作ることができます。こういった柔軟性は、汎用ツールではもちろんのこと、法務の効率化だけを志向したツールでは実現することが難しいかもしれません。

法務(組織)内で契約審査の精度を担保する仕組みがある

複数名の法務担当者がいる場合であれば、レビュー内容の精度を担保するため、いわゆる「ダブルチェック体制」をつくることが考えられます。Hubbleではコメント機能を使ってスムーズにダブルチェックを行うことができます。

「承認・締結」パートの各要件とHubble

契約締結に必要な承認フローが決まっている

契約を締結するまでの承認フローが決まったら、Hubbleではコメント機能や確認済み機能をつかって、決められたフローを実際に運用することが可能です。

取引先と合意した内容を取り違えずに社内承認・締結ができる仕組みがある

Hubbleでは、作成したドラフトの各バージョンに固有のURLが付与されており、各バージョンが明確に区別されています。

この固有性をベースに、稟議への繋ぎ込みや電子契約への連携なども可能となっており、先祖返りしたバージョンでの承認や締結の取り違えの可能性を極限まで下げることが可能となっています。

「管理」パートの各要件とHubble

紙・電子を問わず締結した契約書の格納場所が統一されている

Hubbleでは、作成して議論を重ねてきたドラフトと紐づける形で、紙で締結した契約書も電子契約も一緒に保管することが可能です。

更に前述したような電子契約書の保管のために必要となるダウンロード作業は、Hubbleとクラウドサイン等の電子契約サービスを連携することで、一切不要になります。なお、この連携作業は、自社から送付する場合でも相手側から送付されてくる場合でも可能です。

締結した契約書に関する情報が一覧化され、関係者がいつでも確認できる仕組みがある

Hubbleには、契約書に関する「詳細情報」を一覧化して表示する「ドキュメントリスト」があります。

ここに一覧化されるのは、権限を持つ契約書に関する情報だけで、従来のエクセルなどの表計算アプリケーションで作る契約台帳のように各部署用にいくつも台帳のファイルを作成する必要はありません

締結した契約書に適切な権限を付与し、閲覧範囲のコントロールをしている

Hubbleではドラフトと結びつけて締結した契約書の原本データを格納することができるため、ドラフトと同様に締結後の契約書のPDFデータについても権限を柔軟にコントロールすることができます。

前述の通り、この権限はドキュメントリスト(契約台帳)でも引き継がれますので、契約書の原本だけでなく台帳も合わせて閲覧範囲をコントロールすることができます。

まとめ

最後までお読み頂き、ありがとうございます!

今回は契約業務の効率化や適正化の観点で議論の出発点となる「Contract Productivity Model」のステージ1を、Hubbleの機能や活用事例に照らしながらご紹介しました。

僕らは繰り返し発信していることですが、改めて契約書は事業部門も見られる、探せる状態になっていて初めて意味があると思っています。こちらの記事が、皆様の契約業務改善のきっかけになったら嬉しいです。


本コラムの著者情報

山下 俊(やました しゅん)
株式会社Hubble Cheif Customer Officer

中央大学法科大学院を修了後、日系メーカーにて企業法務業務全般に従事しつつ、業務効率化にも取り組む。2020年1月に1人目のカスタマーサクセスとして入社し、2023年6月より現職。法務メディア「Legal Ops Lab」の編集担当も兼務。近著に『Legal Operationsの実践』(商事法務)がある。

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