個別指導塾をはじめ、幼児教室、キッズスポーツ教室、英会話スクール、英語で預かる学童保育、バイリンガル幼児園等を全国で運営する総合教育グループとして、国内外で2,400以上の教室を展開し、世界中の13万人以上の子どもたち一人ひとりが持つ”宝石”を見つけ、”やる気スイッチ”を入れ、その無限の可能性を引き出すことで、幸せな人生を歩んでいくための力を育んでいる株式会社やる気スイッチグループホールディングス。
グローバル化やIT化の進展に合わせ、教育サービスに求められることもまた大きく変化する中、同社は子どもたちの未来を“よりよく”するため、既成概念にとらわれることなく、革新的な新たな挑戦を続けています。こうした事業を支える同社法務・コンプライアンス部では、どのように「木こりのジレンマ」を脱し、各メンバーが自律的に業務を行える契約オペレーションを整えたのか。
導入後3か月でチーム力を向上させ契約業務スピードが加速したシステム切り替えの背景とその意思決定について、株式会社やる気スイッチグループホールディングス 法務・リスクマネジメント本部 法務・コンプライアンス部 部長 安西 孝裕 様、同部 佐藤 渉 様及び同部 知野根 美咲 様にお伺いしました(取材時:2025年8月)。
本記事のポイント
Over view
- 法務・リスクマネジメント本部 法務・コンプライアンス部の概要
- 人数:4名
- 契約書依頼件数:約1,000件/年
- Hubble導入前の課題
- 契約書審査に係る業務の効率化による契約書審査のスピードの向上
- 契約関連情報の参照やナレッジの活用による法務・コンプライアンス部内のメンバーの能力の平準化及び向上
- 押印書類の審査等の日々の定型業務や作業を削減・自動化することで、注力業務に集中できる環境を整備し、恒常的に改善に時間が割けるような業務割合に組み換える(「木こりのジレンマ」を脱する)
- Hubbleの利用範囲
- 法務・コンプライアンス部内(全社展開予定)
- 契約書、契約書ひな型、フランチャイズ加盟者に対する法定開示書類
- Hubble導入後の効果
- 契約業務オペレーションの改革により、業務工数が削減し、契約書審査スピードが向上
- 押印書類の審査時に事前の契約書審査完了の有無や最終版の契約書との差分の確認業務を自動化し、注力業務に注力可能な業務環境を実現
- 過去の契約に紐づく情報やナレッジを自ら参照・活用できる環境が整い、チームの成長と効率化を両立させるナレッジマネジメントが可能に
国内外にある2,400教室の展開を支える、直営/フランチャイズ教室運営特有の契約業務
本日は宜しくお願いいたします。早速ですが、皆様が所属している法務・リスクマネジメント本部 法務・コンプライアンス部の概要を教えてください。
安西
法務・リスクマネジメント本部は、全社のリスクマネジメント全般を司る組織で、法務・コンプライアンス部とリスクマネジメント部の2部門で構成されています。
リスクマネジメント部は、事業に関する安全管理及び危機管理全般を担っている一方、私が部長として統括する法務・コンプライアンス部は企業法務全般とコンプライアンス全般の業務を管掌しております。具体的には、契約書審査・法務相談、株主総会・取締役会の運営、知的財産の取り扱い、係争案件への対応、法改正情報のリサーチ・発信等をはじめとする企業法務業務と、ハラスメント防止に向けた社内研修等のコンプライアンス推進やコンプライアンス事案への対応業務を担当しています。
法務・コンプライアンス部は私を含めて4名が所属しておりますが、法務・リスクマネジメント本部の本部長も法務・コンプライアンス部の前任の部長でありましたので、特命案件等については、本部長も含めた5 名体制で対応をすることもあります。

非常に業務範囲が広い印象です。契約業務については、平均するとどれくらいの契約書審査依頼の件数になるのでしょうか?
佐藤
契約書審査依頼件数としては、子会社も含めて年間1,000件程です。
当社では、印章管理業務も法務・コンプライアンス部が管掌しておりますので、事業部門からの押印申請に対する審査・押印業務についても全件法務・コンプライアンス部で対応しています。自社ひな形で契約締結する場合は、契約書案の事前審査を省略する場合もあるため、押印申請の審査件数は年間4,000 件を超える量になります。

4名の皆様で、年間1,000件以上の契約書審査と年間4,000件以上の押印審査・対応に加え、商事法務業務やコンプライアンス業務もあるとなると、業務の効率化が非常に求められる環境ですね。法務・コンプライアンス部のチームにはどのような特徴がありますか?
安西
本部長と私は法務キャリアが長い一方、佐藤は法務経験後、経理やカスタマーサクセス等、他部門を経て法務に戻ってきたキャリアです。知野根も営業から当社で初めて法務にチャレンジしている状況ですので、法務キャリアの長いマネジメント層と多様な職種を経験したメンバー層で構成されているところがチームの特徴と言えるかもしれません。
営業から法務に職種転換するというのは思い切ったご決断ですね。知野根様は、どうして法務にキャリアチェンジをされたのでしょうか?
知野根
前職の営業時代、企業成長に貢献することにやりがいを感じていましたが、自分のスキルが何に昇華されているのか自問自答する日々がありました。そこで専門性を武器に事業を支える法務への挑戦を決めました。会社が不利にならないよう守りを固めるだけでなく、事業を前に進めるための論拠を一緒に作っていける、そうした「守りと攻め」の両面から会社に寄与したいと思ったことがきっかけです。

とても素敵なお話しをありがとうございます。未経験法務の方を受け入れ、育てていかれているのも、総合教育グループとして展開されている貴社のビジネスとのつながりを感じます。こうした貴社の事業展開の観点から、特徴的な契約類型があれば教えてください。
安西
当社は、国内外で2,400以上の教室を展開しておりますが、直営教室とフランチャイズ教室があります。
直営の場合、基本的に自社物件ではなく賃貸物件で教室を展開していきますので、不動産賃貸借に関する契約書の割合が最も多く、全体の3割を占めます。不動産業界は伝統的に紙の契約書が多いことから、連動して紙で締結する契約書の割合が高くなり、また3~5年の周期で契約更新の対応も生じます。
一方、フランチャイズ教室については、フランチャイズチェーンの本部として、当社と全国のフランチャイズ加盟者の皆様の間でフランチャイズ契約書及びそれに付随する各種覚書を締結することで展開をしていきますが、フランチャイズに関する契約書等が全体の1割ほどとなっています。
なるほど。フランチャイズチェーンの本部としての契約業務の特徴はどのようなところにあるのでしょうか?
安西
フランチャイズビジネスはチェーン全体の統一性を損なわないよう、基本的にはひな型での対応となりますが、ひな型の改定や新しいサービスの展開に伴う対応等が発生します。また、直営教室の場合もフランチャイズ教室の場合も、お客様がスクールに入会される際には入会契約書が必要になりますので、当部ではそのひな型の作成・管理を担っています。
その他、商品開発や業務のアウトソースのための業務委託契約書や取引検討段階における秘密保持契約書、人材関連事業を扱う子会社からの依頼では人材紹介契約書等もあります。

佐藤
契約書ではありませんが、中小小売商業振興法及び独占禁止法では、チェーン本部の事業概要及び契約の主な内容等の情報を、チェーンに加盟しようとする方に対して契約締結前に事前に開示し、説明することを求めています。こうした事前開示書面の作成や年1回の更新が必要となるため更新対応も行っています。
法務相談についても、景品表示法や特定商取引法に関する相談が多いのも特徴です。
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会のHPに貴社グループの学習塾・スクールの事前開示書面が開示されておりますが、ブランド展開も多いと事前開示書面の作成や更新だけでも大変ですね。
佐藤
契約書のひな型も同様で、フランチャイズ契約書のひな型は、ブランドごと、多店舗展開のケースと単店舗ケースの2種があり、さらに、入会申込書類の契約書もブランドごとにあるため、ひな型だけでも40種ほどをメンテナンスする必要があり、非常に苦労しています。
法務・コンプライアンス部の増員により、同時多発的に発生するコミュニケーションをはじめ情報の一元集約が急務に
それでは、Hubble導入前の貴社の契約業務フローを教えてください。
佐藤
事業部門からの案件の受付は、社内コミュニケーションツールとなっているグループウェアで行っており、日常的な法務審査や契約書審査に関する案件管理はカンバンボード上でタスク管理できるツールを法務・コンプライアンス部内のみで使っていました。ただ、当時は、恒常的な案件処理とは異なるプロジェクトの進捗の管理等については、別の部署でも使っていたもう一つのタスク管理ツールでも行っている状況でした。
さらに、契約書のバージョン管理は、リーガルテックツールで行っていたのですが、全件がこのリーガルテックツールに入っている状態ではなく、個人のローカル上での管理になってしまっている案件もありました。
様々なツールに情報が分散してしまっていたのですね。
佐藤
はい。それだけでなく、契約書審査中の事業部門とのコミュニケーションは、グループウェア上のスレッド内で行っていたのですが、事業部門とのコミュニケーションとは別に、法務・コンプライアンス部内に閉じたコミュニケーションスレッドが立ち上がることがあり、一つの案件に対するコミュニケーションが各スレッドにも分散している状況でした。
締結後の契約書管理という点では、電子契約と紙での締結の両方がありましたが、紙の場合も契約締結後に必ずPDF化して一元管理し、締結後の契約書はデータで全件検索できる状態に整っていました。

もともとお使いになられていたリーガルテックツールにバージョン情報が一元管理できなかったのはなぜでしょうか?
安西
当時使っていたリーガルテックツール上のクラウドエディタで編集をすると、Microsoft Word(以下、「Word」)と同じ操作ができず、一方で、Wordアドインで編集をすると、リーガルテックツールのクラウド機能が一部使えない等の不便がありました。
そのため、緊急対応案件のファイルは事業部門とのコミュニケーションの延長で、個人のローカル上のWordで編集して打ち返したほうが早く、リーガルテックツールを必ず通すフローが確立できていなかったことが大きな要因だと分析しています。
佐藤
リーガルテックツール上で法務・コンプライアンス部内での議論をコメントとして付けると、Wordの中のコメントに入ってしまう等、部内のコミュニケーションツールとしての活用が難しいという点もありましたね。その結果、別途グループウェアにやり取りが分散してしまう状況でした。
なるほど。当時使われていた各種のツールに依頼をする事業部門と法務・コンプライアンス部とのコミュニケーションと、法務・コンプライアンス部内でのコミュニケーション、さらに取引先とのコミュニケーションが分散し、バージョンや関連情報を含めたファイルの統一的な管理が困難だったのですね。
安西
そうですね。当初は、本部長を除くと、私とメンバーの2名体制で年間1,000件の契約審査業務に対応していましたので、対面コミュニケーションで完結してしまい、部内でのコミュニケーションを記録化して残すインセンティブが低い状況でもありました。
その後、佐藤と知野根が当部に新たに加わり、部のメンバーが増えたことで、同時多発的に生じる部内でのコミュニケーションをテキストとして集約し、案件に紐づくコミュニケーションを整えていくことが急務になりました。

こうした状況の中で、Hubble導入前はどのように課題を整理されたのでしょうか?
佐藤
Hubble導入前は事業部門から相談・依頼案件の進捗の問い合わせも生じておりましたので、審査時間をより短縮するためのボトルネックを解消することと、前例や類似事例を参照することができる環境で各メンバーの能力の底上げを目指していました。この目標を達成するためのボトルネックが、ここまでお話ししてきた業務フローにおける情報の分散と非効率性だと整理しました。
というのも、審査時間短縮とメンバーの能力底上げという2つの目標を達成するためにも、頻繁に発生する契約書の類型について、対応方針の整理を行いプレイブック化したりひな型を拡充したりしていくことは欠かせません。しかし、そもそもそうした標準化を行う前提となる類似事例や従前の判断に関する情報が分散していると、一定法務経験のあるメンバーですらいつまでも教えてもらい続けなければなりません。法務歴がある程度あり入社歴が浅いだけのメンバーも、知っている人の回答を待たないと判断ができず、知見の標準化のための各種整備が進まない状況に陥ってしまうのです。こうした非効率な業務の結果、改善にも時間が取れないという悪循環を解消し、「木こりのジレンマ」を脱する必要がありました。
「木こりのジレンマ」とは、切れ味の悪い斧で木を切る木こりが、「忙しくて斧を研ぐ暇がない」と言いながら斧を研がずに作業を続け、結果的に時間を空費してしまう寓話ですよね。知野根様は貴社にご入社後、具体的にどのような業務に非効率性を感じていましたか?
知野根
私は当社で初めて法務業務を行う立場でしたので、過去に対応した類似事例を参照しようとした際、どこを探して、誰に聞いたら見つかるのかわからない状況でした。そのため複数のツールをやみくもに探したり、部長や関係各部署の方へ都度ご質問したりと、具体的な契約書審査を始める前段階に労力を要していました。

確かに初めての業務で分からないことばかりの中で、逐一誰かに聞かないと業務が前に進まないという状況は教える側にとっても教えられる側にとっても負担感が大きくなってしまいますよね。
佐藤
そうした環境になってしまうのも、前述の悪循環によるものかなと思います。
例えば、契約審査時の契約書のバージョン比較や、押印申請に添付されたファイルが押印前に最終確認した契約書ドラフトから「サイレント修正」されていないか2つのファイルを並べて目視で確認する作業であるとか。あるいは、各種ツール同士が連携していないことで、押印申請で言えば以前契約書審査依頼を受けたスレッドを手打ちで検索して法務チェックの有無をさかのぼって確認しなければならなかったたり、別のデータベースから取引先番号を手動でコピーして転記したりする単純作業に工数をかけたりとか。
こうした前提情報を探し回る非効率をなくして、自律的に動ける環境を整備するということに時間を使えれば、その後の改善スピードやチームの成長スピードは劇的に改善するだろうと考えていました。
入社3か月で驚異のプロジェクト推進力を発揮できたのは、経緯や背景を尊重した課題解決の提案姿勢と個性を尊重する環境があってこそ
佐藤様が、こうした状況の中で、貴社の課題を解決していこうとされるきっかけについても教えてください。
佐藤
私は2024年5月に当社に入社しました。3か月間は試用期間中でしたので、当社の従来の業務フローに従い業務を行っていましたが、新入メンバーとして先ほど申し上げた課題を強く感じました。
そこで、試用期間が満了したタイミングである同年8月に、当社の現状と課題の整理を行ったうえで、安西に課題の解決を提案したのがきっかけです。
年末までには次年度のおおよその予算編成が固まることもあり、入社歴は浅かったものの、逆算して8月時点で予算取りの準備を行わなければ間に合わないと考え、試用期間満了直後から動き出しました。
すごいスピード感ですね。当時、部長として、入社3か月の佐藤様のご提案を聞いた安西様はどのように感じたのでしょうか?
安西
佐藤の提案に違和感はなく、また、入社歴が浅いからこそ感じる課題意識は当部にとって非常に重要な視点だと感じました。というのも、もともと使っていたリーガルテックツールは、実は私が当時当部の課題を解決するために本部長に対して働きかけを行い導入したツールでしたが、導入した当時と今の状況とでは、メンバーの構成も変わり、状況が大きく変化していましたので、当然向き合うべき課題も変わっています。
こうした状況の中で、部が増員により拡大して一対一のコミュニケーションでは成り立たず、同時多発的に発生するコミュニケーションを集約していく必要性が浮き彫りになっていましたので、私もかつて本部長に任せてもらったように、この課題改善を佐藤に一任しようと考え、現状のツールのリプレイスや業務フローの整備プロジェクトのリーダーを任せることにしました。

入社間もない佐藤様のご提案を真摯に受け止め、大きなプロジェクトを早期に任せる安西様のご決断力も素晴らしいですね。
安西
私は、当社に染まり切っていない新入メンバーの意見だからこそ、従来から続く慣行の踏襲では解決しきれない、当社がより良くなる視点があると考えています。また、佐藤は、前職でも業務オペレーションを整え、より効率的な業務フローの設計を行った経験もあり、リーガルテックツールにも明るかったことから、非常に高い推進力をもって法務業務のフローの改革を推進してくれるだろうという期待も感じました。
佐藤様の推進力やご提案力と、安西様の入社歴に関わらず話に耳を傾け、メンバーを信頼して任せるというチームワークの良さを感じます。
安西
当社は、スクールに入会いただく生徒様に受検いただいている当社独自の「個性診断テスト」がありますが、社員の育成等の観点から正社員も同様のテストを受けています。
その中に説得する力と受け入れる力を測るパラメータがあるのですが、私は受け入れる力が、佐藤は説得する力が傾向として高く出ています。そういうバランスもこのプロジェクトが前例のないほどのスピード感で進んだ背景にあるのかもしれません。
佐藤
安西も私が入社するまでにいろいろと考え、工夫をし、苦労をしてきている中で、新参者の私が現状の業務フローに対していろいろと意見することは、安西にとっては「自分がやってきたことを否定されている」と受け取られてもおかしくない状況だったと思います。そうした中で、入社3か月の私に業務改善のプロジェクトの責任を持たせてもらえたことは非常に感謝しています。
チームメンバーの自律性を尊重し、まさに個性が輝く素敵な業務環境ですね。佐藤様としても、入社後に改善のご提案をされる際に工夫されたポイント等もあると思います。
佐藤
やはり、現状の業務フローの形成に関与してきた方々へのリスペクトは重要だと考えています。入社直後の2 週間程度をかけて全体の業務を一通り把握できれば、その中に潜む問題や課題はすぐに発見することができます。しかし、その時点で現状を全否定しても耳を傾けてもらうことはできません。現状の業務を覚え、一人でできる状態になることだけでなく、現状の業務フローになった経緯や背景を丁寧に知っていくことが重要だと考えています。

自分の話に耳を傾けてもらえるように、まずは積極的に相手を知るという姿勢は非常に重要ですね。
佐藤
そうですね。どんなに非効率な業務フローであっても、不合理な判断でそうした状況に陥っているのではなく、何かしらの課題や問題があり、一時的な手当てをするために導入したツールが積みあがって入り組んだ業務フローになってしまった、というケースがほとんどだと思います。
そのため、現状の業務フローになった背景や経緯も含めて前提の整理をすることが、従来からあった共通の課題を解決するという一つの目的に向けた新しい提案を受け入れてもらえるポイントだと思います。
安西
提案を受けた私の感覚としても、「急に、今まで考えたことがなかった全く新しい提案をしてきた」という感覚は全くなく、「まさに佐藤が整理した課題は従来から私も抱えていたものであり、解決の道筋が開けた」と感じました。
「木こりのジレンマ」を脱し、チームの成長と契約書審査スピードが上がる自律型の業務環境を実現
入社3か月後から佐藤様がプロジェクト推進をされる中で、どのように課題解決を目指されていったのでしょうか?
佐藤
まず、当社のボトルネックを解消するための検討要件を定義していきました。
ぜひ具体的に教えてください。
佐藤
例えば、ボトルネックの一つである情報の分散が生じる原因は、情報の「正の置き場」がないためだと特定し、情報を集約できベストプラクティスが参照できる場所を決める必要があると考えました。
また、手打ちする必要がある情報が多い非効率性については、自動でタスク起票し、各種ツールの連携ができる状態が必要だと考えました。
こうした検討要件が、ツールの検討の際の要件となったのですね。
佐藤
そうです。8~9月頃に、いくつかのシステムを候補として挙げ、比較検討し、報告書にまとめて部長、そして本部長に提案し、予算取りを行ったうえで、最終的にはHubbleを選定するに至りました。

佐藤様のご提案を受けて、予算取りはスムーズに進んだのでしょうか?
安西
まず本部長には、現場での意思決定を尊重していただきました。もっとも、従前利用していたツールは、私自身が、当時導入を主導したという経緯もありましたので、なぜ当時導入したツールでは課題が解決しなかったのかという振り返りは当然しています。
その上で、Hubbleを導入することで今よりも費用対効果が良く業務改善がされるということをご説明して、納得いただきました。
他のツールとの比較検討を経て最終的にHubbleをご選定いただいたポイントはどこにあるのでしょうか?
佐藤
当社の課題を解決できるかどうか、当社の要件を12個に分解し、評価に重み付けをしました。比較検討の要件表を作る際は、多機能であると表の中で〇がつきやすく、結果として多機能なツールが選ばれがちであると思うのですが、「あれば嬉しいけど必須ではない」という機能もあります。
そのため、当社の状況を踏まえた上で「何が必須で、どの機能の優先度が高いのか」を協議し、複数のツールを徹底的に比較した結果、Hubbleが最もより良く当社の課題を解決できる、と判断しました。
ありがとうございます。現在、利用され始めて3か月程となりますが、Hubble導入の効果も出ていますでしょうか?
安西
実は、Hubble導入前から、佐藤が契約書審査に係る工数や処理時間をMicrosoft Excelで記録していたことをきっかけに、法務・コンプライアンス部の目標設定や改善点を把握するため、部内全員の契約書審査工数や依頼から一次回答期日までの所要日数を計測しています。
Hubble導入後3か月の現時点でも、昨年比で顕著に減少傾向が出ており、契約書審査スピードが向上しています。

既に定量的な効果も生じているとのこと、とても嬉しく思います。契約書審査スピード向上に繋がっているのはどのような業務が効率化されたことが大きいのでしょうか?
安西
一番大きな変化としては、押印申請を受けた際に、法務・コンプライアンス部で審査済みの最終ドラフトと、押印申請で回付されている契約書に差分がないか、Hubbleの「電子契約PDF差分チェック機能」で瞬時に判断ができるようになったことです。これによって押印書類の審査業務が効率化され、契約書の審査業務に充てられる時間が増えました 。
また、Hubbleに契約書審査に関する情報集約されるようになった結果、審査対象となる類似案件の検索が担当者自身でできるようになったことも非常に大きいです。契約書審査業務が効率化され、押印申請の承認時も契約締結前に法務・コンプライアンス部審査済みかどうか他のメンバーに確認しなくても判別できるようになり、判断にかかる工数が大幅に削減できました。
佐藤
私たちとしては、いかに「木こりのジレンマ」を打破できるか、をこれからも考え続ける必要があります。
そのため、定量的効果として「審査時間が短縮できた」ことだけでなく、それにより「業務時間がより価値ある業務に組み替えられた」という観点が非常に重要です。Hubbleにより業務が自動化されただけでなく、契約書審査業務や判断の標準化のためのひな型やプレイブック作成等、本来、法務・コンプライアンス部が最も注力すべき業務に時間を割けるようになったことこそ意義のあることだと感じています。
その結果、前例や従来の判断等の検索や確認に時間がかからなくなっただけでなく、その余剰の時間で契約審査に必要な判断の標準化や基準の言語化を含めて審査を効率化する仕組みを構築することができ、そうすることで自律的な判断が可能になり、さらに審査スピードが上がるという好循環が生じていると感じています。

日々の忙しさに単に対応するだけでなく、「斧を研ぐ」ことで、契約審査スピード向上に向けたボトルネックとなっていた非効率性を解消し、契約書審査スピードの向上という課題をより良く解決されていることがよくわかりました。チームメンバーの成長やそれを支える自律型の業務環境についても具体的に教えてください。
知野根
これまで可視化しづらい環境であった契約書ドラフトのバージョン管理ができるようになり、加えて、契約書と紐づく形で契約書審査の検討メモやコミュニケーションが蓄積されていますので、過去の案件の参照をする際も、案件の個別具体的な要素を踏まえてナレッジ活用ができるようになりました。
私は契約書審査においては学ぶことがまだ多くありますが、Hubbleは、ファイル名や本文だけでなく、「コメント検索」で契約書と同じ画面で、契約書審査の検討過程で生じるメモやコミュニケーションを参照できるところが非常に便利で、毎日使っています。
とても嬉しいです。具体的に、Hubbleのコメント欄をどのように活用いただいているのでしょうか?
知野根
例えば、契約書の修正において、関係者への伝え方に悩む場面が多々あります。そうした際、Hubbleのコメント検索機能を活用して、安西や佐藤が相手方にどのようにコメントを返しているか、あるいは依頼元の事業部門へどう動機付けされているか等を参考にしています。過去のコメントを参照することで、単なる条文修正に留まらない「交渉の作法」や「コミュニケーションの取り方」を学べるため、非常に勉強になります。また、Hubbleは契約書のバージョンとともに、検討過程の経緯がコメントに蓄積されていきますので、なぜこの修正が必要だったのかという背景を契約書ドラフトのバージョンの変遷とともに振り返ることができるため、類似案件を審査する際の貴重なナレッジとして活用しています。
とても素敵な活用方法ですね!知野根様がコメント検索を使用する場面として、差し支えない範囲でより具体な契約審査業務の場面についても教えてください。
知野根
例えばNDAであれば、「使用目的」をキーワードに検索すれば、安西や佐藤が不適切と判断した記載例や、修正後の具体的なコメント案をすぐに参照できます。また、相手方からの修正案に対する確認のさじ加減も学べます。どの程度の修正であれば意図を問い直すべきか、その際に角を立てずにどう尋ねるべきかといった、基準化しにくい現場の意向等も、過去の案件を参照することでスムーズに導き出せるのがとても便利ですね。

従来「暗黙知」と言われるようなナレッジも、自ら検索し、活用できる環境になっているのですね。
安西
当社の場合、契約書の修正の内容だけでなく、取引相手方や事業部門に対するコミュニケーションの仕方や内容も含めて、Hubbleのコメント欄を活用し、二次レビュー時にフィードバックをしているため、まさにナレッジマネジメントの場となってくれています。
貴社では、今後、事業部門への展開も見据えて、「法務コメント機能」の活用もいただいているのですよね。
佐藤
はい。現時点では法務・コンプライアンス部内での利用となっておりますが、HubbleのAPI連携を見据えて、事業部門への展開も予定しています。権限管理を行ったとしても、法務・コンプライアンス部内でのコミュニケーションに閉じていない形で保存・蓄積されたやり取りを後から閲覧できないようにする、ということは現実的ではありません。
そのため、法務・コンプライアンス部内での教育的コメントや部内限りのナレッジマネジメントについては、法務・コンプライアンス部内での活用からスタートした現段階から、「法務コメント機能」を活用しています。
現時点の状況を所与の前提とせず、理想状態を定義した上でその逆算から環境の整備を整えられる思考は非常に勉強になります。それでは最後に、貴社の今後の展望を教えてください。
安西
全社や社外のステークホルダーから信頼を得られる組織になることを目指しています。特に社内のステークホルダーとの関係では、事業に寄り添う姿勢はもちろん大事ではあるものの、信頼に足るだけの法務としての専門性を生かした期待を超える回答やアウトプットスピードを出し、納得いただける関係性を築いていくことが非常に重要だと考えています。
知野根
信頼される法務であるためには、相談しやすい環境を積極的に創ることも重要だと考えています。そのためにも、一つひとつの案件において、信頼に足るだけのアウトプットを出すことはもちろん、他の部門の担当者とも積極的にコミュニケーションをとり、「相談しやすい」と思ってもらえる人になれるように尽力していきたいです。
佐藤
法務の人は非常にまじめな方が多いので、目の前のタスクに一生懸命取り組む傾向があると思います。しかしそれは、現状の受容にもつながる要因にもなっていると思います。一つひとつの案件に対応することはもちろん重要である一方で、目の前の案件に注力しているだけで全体が最適化されるわけではありませんので、作業に忙殺されてはいけないと考えています。私自身、個別具体的な案件への対応以上に、発生している事象の原因の解決に関心が高いので、そうした本質的な業務に取り組める環境をこれからもつくっていきたいです。
まさに、「法務部門が(社内の)クライアントに対して、より効率的に法務サービスを提供するための仕組み・活動」を意味する「リーガルオペレーションズ(Legal Operations)」の考え方と一致しますね。本日はお忙しい中、素敵なお話をありがとうございました!

会社概要(2026年3月現在)
Company Profile
| 会社名 | 株式会社やる気スイッチグループホールディングス |
| 所在地 | 東京都中央区八丁堀二丁目24-2 |
| 設立 | 2020年1月 |
| 代表者 | 代表取締役社長 高橋 直司 |
| 事業内容 | 持ち株会社およびグループ全体の経営管理、事務代行および経営方針策定等 |
| URL | https://www.yarukiswitch-holdings.co.jp/ |
| 会社名 | 株式会社やる気スイッチグループ |
| 所在地 | 東京都中央区八丁堀二丁目24-2 八丁堀第一生命ビル |
| 設立 | 2017年4月 |
| 代表者 | 代表取締役社長 高橋 直司 |
| 事業内容 | 個別指導塾・英会話スクール・幼児教育・民間型託児保育の経営及びそれらのフランチャイズ事業 |
| 事業内容 | https://www.yarukiswitch.jp/ |
より詳しいお話をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
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